日銀の買い支え メリットとデメリットとは?
『日銀のETF購入、年7兆円超える 異例の買い支えには副作用も』
こちらは、最近3カ月以内のネットニュースの見出しです。
たった一文ですが、見た瞬間に本当の意味を理解できる人はどれだけいるのでしょうか?
投資を始めると、これまで興味の無かった情報に注意が向く一方で、初めて触れる言葉も多く、本当の意味を基礎のうちにしっかり理解しておくことが大切です。
今回は、見出しにもある
「日銀の買い支え」
について、かみ砕いて解説しようと思います。
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【今回のアジェンダ】
①そもそも日銀とは?
②日銀の買い支えが日経平均の上昇の主要因である?!
③日銀の買い支えの仕組みについて
④買い支えのメリットとデメリットについて
⑤筆者の考察
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①そもそも日銀ってどういう組織がご存じですか?
日本銀行のHPでは、このように定義されています。
「日本銀行法では、日本銀行の目的を、『我が国の中央銀行として、銀行券を発行するとともに、通貨及び金融の調節を行うこと』および『銀行その他の金融機関の間で行われる資金決済の円滑の確保を図り、もって信用秩序の維持に質すること」
また、調節を行うにあたっての理念としては、
「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資すること」
を掲げています。
日銀はお金を発行するだけでなく、景気を支える大きな役割を果たしています。
②これを踏まえた上で、
では「日銀の買い支え」とはどういうことなのでしょうか?
端的に言うと、
日銀の買い支えが日経平均の主要因となっているのです。
詳しく解説していきます。
日銀は、日本の景気の底上げのために、日経平均株価やTOPIXと連動するETFを買うことで、企業や経済を支えているんですね。
・「ETF」とは、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)、NYダウなどの指数に連動するように運用されている投資信託の一種で、証券会社に口座を開けば、株式同様に手軽に売買を行うことができます。
・「投資信託」とは、一言で言えば、「投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が、株式や債権などに投資・運用する商品」のことです。
ETFの買い入れを通して市場にお金を供給することで、市場の資金循環の改善や、予想実質金利の低下、企業の資産価格の上昇といった効果により、「物価の安定」と「金融システムの安定」を目指しているんです。
今回のコロナパンデミックで、経済が圧縮され、企業が倒産するなど苦しい状況が続いています。
それなのに、株価は、バブル時と同じように価格が上昇しています。
なぜでしょうか?
言うまでもなく、株価急落を懸念した日銀が、株を買って、経済や企業を支えているからなんですね。景気が悪化しているからこそ、日銀は多額のお金を投資し続けているんです。
(2020年末時点で、ETF残高は約35兆円に達したと言われています。)
③ここで、日銀は、どんな条件で買い支えを行う判断をしているのでしょうか?
まず、補足として、従来の投資信託であれば、一日一回のみ取引ができるものでしたが、
ETFは上場しているため、市場が開いていればいつでも好きなだけ取引ができます。
日銀は、TOPIXの前場(午前の取引)の下落率がマイナス0.5%以上であれば、後場(午後の取引)が始まってから買う、これが市場の推測のコンセンサンスになっています。
ただし、0.5%以下の下落率でも、過去2日間下落している場合は、買い入れ条件がマイナス0.25%以上まで緩和される、という見方も広がっています。
基本的には、日銀の買い入れ時間は非公開となっていますが、ETFの出来高やその後の日銀の買い入れ発表の額などから、前場終了近辺から後場の始まりにかけて買っていると推察されています。
④では、日銀の買い入れにより、特に投資家にとってメリットやデメリットはあるのでしょうか?
簡単に解説します。
メリットは、株式相場を安定化し、家計や企業を心理的に支えるとともに、国内投資家を中心に日本株へのリスク選好を高めることが挙げられrます。
デメリットは、価格調整機能の低下に伴い、大幅な価格変動リスクが高まることや、買い入れ対象の一部の銘柄で流動性が低下し価格変動リスクが高まること、さらに、株主構成に歪みが生じ、企業と株主との対話に支障を来す懸念があることなどが挙げられます。
現に、一部の大型銘柄では、株主の比率の半分以上を日銀が占める例もあります。
⑤最後に筆者の考察です。
日銀の買い支えによって、日経平均株価は現在、未曾有の高値となっています。
企業や投資家にとって、チャンスと捉える動きもあるかと思います。
しかし、これがいつまで続くのでしょうか?
そして、これが「公正なマーケット」と果たして言えるのでしょうか?
政策効果を期待して行われた日銀の買い支えですが、その効果を疑問視する声もあがっています。
筆者としては、日本の経済を本当の意味で「良くする」のであれば、歪みの増大を少しでも減らしていくことも今後大事な課題になってくるのではないかと思います。
あくまでも私見ですが、
賛否を見極めながら、市場の動向も分析していきたいですね。
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