今回は決算分析の基本的な部分について、代表的な指標とともに紹介したいと思います。決計算とはそもそも貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書などの財務諸表の事を指しています。
財務分析は「収益性分析」「安全性分析」「活動性分析」「生産性分析」「成長性分析」の5つの観点から見ることが出来ます。順に説明していきたいと思います。
⑴収益性分析
収益性分析とは、企業の総合的な利益創出力を評価する手法の総称です。
自己資本当期利益率(ROE)とは
自己資本当期利益率(%)=当期純利益÷自己資本×100であり自己資本に対してどれだけの利益が生み出されているかを示す財務指標です。
⑵安全性分析
安全性分析は、銀行からの借入に対する返済能力といった、企業の支払い能力を見るものです。代表的な指標としては、株主資本比率、流動比率、当座比率、固定比率等があります。
株主資本比率=株主資本÷(負債+資本)
流動比率=流動資産÷流動負債
当座比率=当座試算÷流動負債
固定比率=固定資産÷株主資本
安全性の指標は安全性の観点からは高いほうが望ましいが、高すぎる安全性の指標は消極的な経営を行っていると言える。銀行の倒産は各所に多大なところに影響を与えるため、国際的な取引を行う銀行にはBIS規制により8%以上の自己資本比率が必要とされている。
⑶活動性分析
活動性分析は、会社の経営が活発かどうかを見る指標です。売上に対して資本がどれくらい回転しているか、つまり資本を効率的に運営できているかを確認するものです。
総資本回転率(%)=売上高÷総資本
⑷生産性分析
企業経営に欠かせないと言われる三要素「ヒト、モノ、カネ」の流れを把握し、それらを活用して、企業がいかに効率的に「付加価値」を生み出したのか、ということを知るために使用されています。
労働生産性=企業全体の付加価値÷従業員数
労働生産性とは労働者1人当たりの付加価値額です。
⑸成長性分析
成長性分析はこれまで会社がどのように成長してきたかをみる分析です。
売上高成長率=売上高増加額÷基準点での売上高
仮にある会社の売上が30%伸びていても、市場全体が30%成長しているならば、シェアの低下を意味するため、市場全体との伸びとの比較をすることが大事です。また。単に成長率が高ければいいというものではない。急激な成長による借入金の増加、業務プロセスの混乱と言った問題が起きるためバランスの取れた成長であるかどうかが重要です。
⑴で紹介したROEとはReturn on Equityの略で株主から見て効率よく事業が運営されているかどうかを評価するものです。つまり、ROEとは事業という金融商品の利率を計算しているようなものです。
ROE=当期純利益÷自己資本×100という式で表されますがROEは次の式のように分解することができます。
まず、何か事業を行うときに自己資本の額だけで事業を行おうと思えば自己資本の額だけの資産しか調達できません。株主以外から借入金などのお金を調達できれば他人資本としてお金が集まります。自己資本に対してどのくらい他人資本を使っているかを表すのが、財務レバレッジです。そして調達した資産を使って売り上げを上げますが、この総資本と売上高の比が総資本回転率です。最後に、売上高を当期純利益にかえていくのが当期純利益率です。
このようにROEは資産を取得するための資金を調達する、資産を売上に変える、売上を利益に変えるという3つのフェーズにおける指標を掛け合わせることで求めることができるのです。
今回は財務分析の基本的な指標を紹介しました。今後は、実際の会社の決算を分析したりとより深い分析をお届けする予定ですのでよろしくお願いします。
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